出身地と家柄

広い中国大陸では漢族が占める割合は90%以上。しかし同じ漢族でも土地によって、骨格、体型、顔の形や目鼻の作り、肌質、性格などが違うと聞く。省によっての分析がされているわけではないが、確かにそんな気がする。わたしの知っている中国人の数などはしれているのだが、出身地を聞いてなるほどと思うことは少なくない。例えば、湖南省出身者はとにかく頭がいい。回転が早く、若い子でも相当に弁が立つ。努力するかどうかは別にしても、彼らは他の地域出身者とはまったく違った鋭利なものをもっているように思う。ちなみに毛沢東は湖南省出身である。山東省出身のひとには文化的な匂いが強い。古代中国文化の発祥地のひとつであるから、土地のひとびとに文化愛好の習俗が根付いているのかもしれない。わたしの知っている山東省生まれのひとは年齢を問わず、文化的な気質を感じさせる。

今日は、山東省出身の女性の御宅におじゃました。友人と呼ぶにはおこがましいが、親しくお付き合いさせていただいている知人のひとり。50代の彼女の実家は山東省の名家で、文革時代には悲惨な体験をした家系である。一見敷居が高そうだが、プライベートでお会いすると実はたいそう気さくな方で、失礼ながら少女のように楚々として可愛い方である。中国の文人の家で育った方は、ほんとうに控えめで、ものごしも柔らかい。一般に街で接する中国のひとびととはまったく違った雰囲気。日本でいうなら、お茶の先生といった感じ。(和服が似合うだろうなぁ) 日本とか中国とかという国や年齢の違いも感じさせない。こういう感覚はごくまれである。毎回彼女に会うと、わたしは知らぬ間にリラックスしてしまう。わたしのようなものが気安くお話できる方ではないのかもしれないが、たぶん先方も何のガードも取り去っておられたように思う。だから自然とその場の空気が和んでくるのか。仕事だったら、肩書きで表情が変わってくるに違いない。彼女にお会いするといつも豊かな気持ちになれる。中国の裕福層を考えるとき、家柄の影響はほんとうに大きいと思う。 

中国の歴史では、多くの文化知識層、仏教関係者が日本に移り住んでいる。特に異民族 “元”に滅ぼされる“南宋”の時代(1279年ごろ)には、日本に逃亡する文化人がかなり多かったという。以前、中国の友人と話していて、彼がこんなことを言った。「唐以降、人種が入れ替わったようだ。」当時の文化人が文化ごと日本に移民していった可能性がある。確かに唐の文化は日本に色濃く残っていて、中国人のあいだでも「唐の文化を探すなら日本に行け」といわれている。日本と中国二国間の歴史には、まだまだ共同研究の余地がかなりあると思う。日本人のルーツも含めて研究者に期待したい。


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